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共有名義での固定資産税は誰が支払う?基本からリスク対策までの完全ガイド
共有名義の固定資産税は誰が支払うのか?と法的な責任やリスクについて不安や疑問に感じることがあるかもしれません。
この記事では、固定資産税における共有名義の基本知識から、支払いの仕組み、共有名義ならではのリスクとその対策について解説します。
共有不動産をお持ちの方で、少しでも税金について不安がある方はぜひ参考にしてください。
共有名義と固定資産税の基本
まずは共有名義と固定資産税の定義と共有名義の場合の計算についてご説明します。
共有名義
共有名義とは?
共有名義とは、複数の人が一つの不動産を共有する状態を指します。
例えば、夫婦が共同で土地や家を購入した場合や、兄弟が土地を相続した場合などがこれに該当します。
不動産を複数人で共有している状態を「共有名義不動産」と呼びます。
持分とは?
共有名義での不動産所有には「持分」という概念があります。
持分とは、共有している不動産の権利の割合を指すもので、これは出資額や法定相続分などに基づいて決まります。
登記簿謄本の権利部には、この持分と所有者名が記されます。
固定資産税
固定資産税とは?
固定資産税は、土地や建物などの不動産に課される税金です。
不動産の価値に応じて計算され、その額は年に一度、納付書として送られてきます。
単独名義の場合であれば名義人が支払えば済むことですが、共有名義の場合は全員で連帯して納付する義務があります。共有者全員が関わるので支払いに関して複雑になることもあります。
固定資産税の計算
固定資産税は、不動産の評価額に応じて計算されます。
さらに共有名義の場合、各共有者は自分の持分に応じた費用を負担する必要があります。
例えば、AさんとBさんが共有名義で不動産を所有していて、Aさんの持分が3分の2、Bさんの持分が3分の1の場合、固定資産税が30万円であれば、Aさんは20万円、Bさんは10万円を支払う必要があります。
共有名義の固定資産税は誰が支払う?
共有名義での固定資産税の支払いには「代表者」を決める必要があります。
納税代表者(納税管理人)制度とは?
実務上、固定資産税は共有者の中から1人が代表者(納税管理人)として指定され、その人に納税通知書が送られます。
この代表者が税金を一括で支払い、その後で各共有者に持分に応じた費用を請求するのが一般的な流れです。
代表者の選定基準
自治体は、登記されている共有者の中から代表者を選ぶ際に、いくつかの要素を考慮します。以下の基準などで選ばれることが多いです。
- 共有持分が一番多い人
- 不動産がある場所に住んでいる人
- 登記簿に記載している順番が早い人
代表者の選定基準は、自治体が固定資産税の未回収を防ぐためのものであるため、自治体が選んだ代表者ではなくても、共有者全員で話し合い、代表者を決めて自治体に申し出て、変更することも可能です。
代表者の変更手続き
代表者を変更する場合、各自治体によって名前は異なりますが、「共有資産代表者選定届」等の書類を提出する必要があります。
届け出の締め切りは自治体ごとに異なるため、早めに手続きをすることをおすすめします。
代表者が変更された場合、新しい代表者が以後の固定資産税の納付責任を負います。
納付時期
毎年4月~6月に納税通知書と振込用紙が代表者へ郵送で届きますので、6月に一括納付か6、9、12、2月の年4回の分割方式かで支払います。
ただし、自治体により納付期限が多少異なる場合もあります。
税額の確認方法
代表者以外の共有者も、固定資産税の額を確認する方法があります。
納付書は代表者にしか送られませんが、自治体に問い合わせることで、自分の持分に応じた税額を把握できます。共有者間での情報共有も大切です。
連帯納付義務
共有名義不動産の固定資産税は、共有者全員が責任を負う、連帯納付義務が課せられます。納税通知書は、共有名義人の中から選ばれた代表者のみへ送付されますが、納税義務は共有者全員にあり、代表者が支払わなくても、他の共有者にも請求がくることを覚えておきましょう。
共有名義での固定資産税のリスクと対策
単独名義とは異なり、共有名義では代表者が他の共有者から費用を回収する必要があります。
回収に時間がかかると、代表者だけではなく共有者全員に以下のようなリスクがあります。
立替払いの問題点
共有者が多いと、立替払いした分を後で請求するのも大変です。
その結果、延滞が長期化してしまう恐れがあります。
立替払いの際には、その後の請求方法や期限を明確にしておくことが重要です。
延滞税の恐れ
固定資産税の支払いが滞ると、延滞税が発生します。
納付期限から1ヵ月間は年率2.4%、それ以降は年率8.7%の延滞税が加算されるため、早急な対応が求められます。
延滞税は代表者だけでなく、共有者全員に影響を及ぼす可能性があるため、代表者だけではなく他の共有者も税金の支払いを行う必要があります。
共有者間の責任問題
固定資産税の延滞が生じた場合、その責任はどのように分担されるのかが問題となります。
特に共有者が多い場合、誰がどれだけの責任を負うのかが不明確になり、解決が難しくなってしまうのです。
延滞税を避けるのが1番の解決策ですが、このような状況になったときの責任の所在について事前に共有者間での合意を得ておく必要があります。
共有者の死亡とその影響
共有名義人が死亡した場合、その持分は相続人に移ります。
この過程で、固定資産税の支払いが滞る可能性があります。
相続が発生した場合は、新たな共有者と早急に連絡を取り、税金の支払い方法を確認しておきましょう。
まとめ
共有名義での固定資産税の支払いの際は、代表者の選定、税額の確認方法、そして延滞税や共有者間の責任問題など多くのポイントが存在します。
固定資産税は共有者全員が連帯して支払う義務があります。通知書は代表者にのみ届くため、他の共有者も税額や納期を把握する努力が必要です。
また、延滞等のトラブルを防ぐためにも、事前の合意や責任の明確化を行い、税金に関するルールと対策をしっかり押さえておきましょう。
共有名義の不動産の取り扱いについてお悩みの方は、当社にお気軽にご相談ください。
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