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共有者全員の許可が必要?共有持分に抵当権は設定できるのか?
住宅ローンを借り入れる際、抵当権を設定する必要があります。
抵当権は返済が困難になった際に実行されるもので、担保提供した不動産は競売にかけられます。
不動産を失う可能性がある抵当権ですが、共有持分に設定しても良いのでしょうか。
今回は共有持分に抵当権は設定できるのかについて、抵当権の概念を設定の流れとともに解説します。
抵当権とは?
抵当権とは?
抵当権とは、債権者である金融機関等が住宅ローンを融資する際に債務者の不動産を担保に設定し、万が一住宅ローンの返済が滞った場合は金融機関等が担保としていた不動産を競売にかけ、その売却金額で他の債権者より優先して弁済を受ける権利のことです。
自身が所有する不動産を担保として差し入れる者(債務者)のことを「抵当権設定者」と呼び、その不動産を担保として抵当権を設定した者(債権者)を「抵当権者」と呼びます。
登記の重要性
抵当権設定にかぎらず、登記は公に権利関係を証明するもので、第三者に対しても効力が及びます。
住宅ローンの借り入れの際に抵当権設定の契約内容を確認するだけでは足りず、登記する必要があるのです。
共有持分の抵当権:共有者全員の許可は必要か?
住宅ローン融資の担保として設定される抵当権ですが、不動産の共有持分のみに設定することも可能です。
ただし、抵当権が実行されて競売にかけられるとなると、その影響は他の共有者にも及びます。
ここでは、共有持分における抵当権の設定について解説します。
1:他共有者の同意
法的には、共有持分に抵当権を設定する際に他の共有者の同意は必要ありません。
しかし、抵当権の実行によって他の共有者も共有持分を手放さなければいけなくなる可能性があるので、事前に相談することはとても重要です。
2:共有物分割後の抵当権の効力
抵当権設定後に共有の不動産が分割されたとき、分割後の持分のみではなく全ての不動産に抵当権の効力が及びます。
これは過去の判例にもありますが、一方の不動産に限定されることによる不公平を避けるためです。
例えば、AとBがそれぞれ2/5、3/5ずつ土地を共有しており、Aが自身の持分に抵当権を設定していたとします。その後A、Bが話し合って土地を50坪、450坪に分割した場合、抵当権がAの土地にしか及ばないとすると、抵当権者(債権者)は50坪分にしか抵当権を実行できないのです。
このように抵当権設定者(債務者)が故意に持分割合以下の分割をする可能性があれば、不公平が生じ抵当権者(債権者)の利益は害されることになるため、持分通りの分割をしたとしても抵当権者(債権者)の抵当権はA、Bそれぞれの土地に存在するということになります。
3:他の共有者が設定した抵当権は完済後抹消できる
住宅ローン完済後も抹消登記がなければ、抵当権は設定されたままです。
共有の不動産に設定された抵当権は共有者であれば誰でも抹消登記ができます。
抵当権が設定されたままだと取引が難しくなるため、完済後は早めに抹消することがおすすめです。
4:複数の不動産をまとめて抵当権設定できる
共有持分に抵当権を設定できるほか、他の不動産もまとめて抵当権を設定できます。
例えば、単独名義の土地と建物、そして土地の共有持分などをまとめて抵当権設定登記するということです。
不動産ごとに設定すると手数料がその分かかるため、複数の不動産に抵当権を設定する場合はまとめて設定することをおすすめします。
抵当権設定の流れ
抵当権は主に住宅ローンを借り入れ・借り換えをする際に設定されます。
一般的に借入先の金融機関が指定した司法書士が抵当権を設定しますが、抵当権設定者である不動産を購入した人が何もしないということではありません。
以下の書類と費用が必要になるので、事前に把握しておきましょう。
必要書類
抵当権の設定に必要な書類は以下の通りです。
・印鑑登録証明書(発行から3カ月以内のもの)
・登記原因証明情報または抵当権設定契約証書
・金融機関の資格証明書(3カ月以内のもの)
・委任状
・登記済権利証または登記識別情報
・住宅用家屋証明書
金融機関から指示がありますが、慌てて集める事態にならないように早めに集めておきましょう。
抵当権設定にかかる費用
抵当権の設定にかかる費用は以下の通りです。
・登録免許税
・印紙税
・登記事項証明書・印鑑登録証明書の発行手数料
・司法書士報酬費用
登録免許税や印紙税は住宅ローンの借入額によって変動しますが、軽減税率が適用されることもあります。
書類の発行手数料は合わせて1000円程度です。
司法書士に依頼する場合にかかる報酬費用には、10~20万円程度かかります。
抵当権の設定が完了したら
抵当権の設定は、抵当権設定登記の履歴事項証明書や登記識別情報などの書類を受け取って完了です。
抵当権抹消登記の際に必要になることもあるので、受け取った時点で内容に不備がないか確認しておきましょう。
まとめ
抵当権は住宅ローンを融資した金融機関が不動産を担保に設定できる権利で、登記をする必要があります。
また、共有持分であっても抵当権の設定は可能ですが、抵当権が実行された際に他の共有者にも影響が及ぶ可能性があるため、事前に相談しておくことが重要です。
当社では不動産の共有持分の扱いについてサポートしております。
他の共有者に関する悩みや抵当権に関することなど、お気軽にご相談ください。
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