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土地の共有名義を解消する際の選択肢!持分放棄でトラブルを回避する方法
土地の共有状態を解消したいと考えているけれど、手続きやリスクが不安で、なかなか一歩が踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
土地の共有状態は、相続や贈与などによって発生することが多く、共有者同士で話し合いが難航したり、将来にわたってトラブルに発展する可能性も孕(はら)んでいます。
この記事では、土地共有名義解消における「持分放棄」という方法に焦点を当て、そのメリット・デメリットや注意点、さらには放置した場合のリスクまでを解説していきます。
土地共有の名義解消でお悩みの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
持分放棄はどんな方法?
土地の共有名義を解消するには様々な方法がありますが、中でも「持分放棄」は、共有者の一方が自分の持分を放棄することで他の共有者へ権利が移転する手続きです。
共有持分を放棄することで共有関係から抜け出し、不動産の売却や所有権の移転など、今後の活用をスムーズに行うことができます。
ここでは持分放棄の手続き、メリット・デメリットについて解説します。
持分放棄の手続き
持分を放棄する具体的な手続きの具体的な手続きとしては、
(1) ・放棄する旨を記載した書面を作成し、他の共有者全員に内容証明郵便で通知する。
※法律上、内容証明郵便で通知することを義務付けられてはいませんが、通知したことを証拠として残すために内容証明郵便を利用しましょう。
(2) ・対外的に持分の放棄があったことを知らせるには、持分移転登記手続きを「持分を放棄する者」と「持分を取得する者」の共同で申請する。
※持分を放棄する旨の通知をしただけでは登記名義が変更になるわけではありませんので、持分の移転登記手続きを行う必要があります。
上記のとおり、対外的には持分の放棄があったことを知らせるには、持分放棄による移転登記を共同申請により行う必要がありますが、他の共有者から持分移転登記をすることに協力が得られない場合、持分の移転登記手続をするよう求める登記引取請求訴訟を提起し、勝訴判決を得ることで単独で移転登記ができるようになります。
移転登記の協力が得られず、固定資産税等の納税義務を負い続けることになりそうな場合には訴訟を検討する必要があるでしょう。
持分放棄のメリット
持分放棄には、以下のようなメリットがあります。
・共有不動産の持分放棄により固定資産税等の納税義務から抜け出せる。
・相続や贈与などによる新たな共有者の発生を防げる。
・将来発生する可能性のあるトラブルを回避できる。
持分放棄のデメリット
一方、持分放棄には、以下のようなデメリットも存在します。
・放棄した持分に対する対価が得られない。
・放棄後の不動産の売却や管理に、他の共有者の同意が必要になる場合がある。
・放棄によって、他の共有者の負担が増える可能性がある。
土地の共有名義解消の注意点
土地共有名義解消をスムーズに行うためには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。
以下の注意点を把握した上で、持分放棄を選択するかどうかを選びましょう。
1: 相続放棄とは
自己のために相続の開始があったことを知ってから3ヵ月以内に、手続します。
相続人個人の権利となるため相続人が単独で手続きすることができ、プラスの財産・マイナスの財産の一切を相続しないことを表明し、相続人としての地位を失うのが「相続放棄」です。
2:持分放棄とは
共有している不動産の持分のみを放棄し、相続人としての地位は残ります。
相続放棄を選択した場合、不動産だけでなく預貯金や有価証券などのプラスの財産も放棄することになります。
そのため、相続財産の中にプラスの財産が多い場合は持分放棄を選択した方が金銭的に有利な場合があります。
3: 分譲マンションならではの事情
分譲マンションの場合、専有部分(建物)と敷地利用権が一体となっているため、専有部分だけの放棄や敷地利用権だけの放棄ができません。
つまり、専有部分の持分を放棄すると一緒に登記されている敷地利用権の持分も放棄することになります。
しかし、古いマンションの中には、専有部分と敷地利用権が別々に登記されている物件があるため、このような物件ではそれぞれの持分を個別に放棄する必要があります。
共有名義の土地を放置した場合のリスク
土地共有名義解消を放置すると、さまざまなリスクが発生する可能性があります。
1: 共有者が増え続けるリスク
他の共有者が死亡した場合、共有者の持分は相続人に相続されるのが一般的です。
そのような場合、共有者の相続人と共有名義解消へ向け話し合いをすることになりますが、共有者の相続人は、配偶者や子どもだけではなく離婚や再婚などで全く会ったこともない相続人が共有者になってしまうケースもあり、共有者が増え続けることで将来の管理や売却が難しくなる可能性があります。
2: 共有者が認知症等になるリスク
共有者が認知症や知的障害、精神障害など判断能力が不十分となる場合、成年後見制度の利用が一般的です。
認知症等により判断力が低下したと共有者が診断されると売買契約などの法律行為が行えません。
成年後見制度を申立、成年後見人と共有名義解消の話し合いをすることになります。
3: 共有者が行方不明になるリスク
他の共有者が行方不明になった場合、所在が分からず連絡を取ることができなくなります。
このような状況では、土地の管理や売却に関する手続きを進めることができず、放置状態になる可能性があります。
まとめ
土地共有名義解消は、放置すると様々なリスクが潜んでいるため、早いうちに対処することが重要です。
持分放棄は、共有関係から抜け出せる有効な手段ですが手続きや注意点、リスクなどを理解した上で、慎重に判断する必要があります。
もし共有持分を放棄できず、取得することになったが持分を売却したい、共有名義不動産の相続や登記などの面倒な手続きまで任せたいという場合は、当社にご相談ください。
編集者
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不動産の共有名義による「相続」「離婚」「相続後」などの親族間トラブルを抱えている方は共有持分サポートへ。当社では弁護士、司法書士、不動産鑑定士、税理士などの専門分野のスタッフが共同で問題解決のために取り組むことで、素早い対応が可能となっております。
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