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相続時には要チェック!根抵当権付き不動産について
住宅ローンを借り入れる際に金融機関が担保として不動産に抵当権を設定します。
完済すれば抵当権は抹消できますが、完済しても残り続ける根抵当権というものもあります。
相続した不動産に根抵当権が設定されていた場合、そのままにしておくと今後の不動産の取り扱いが不利になる恐れがあるのです。
そこで、今回は根抵当権について、相続時の注意点とともに解説します。
□根抵当権とは何か?
根抵当権とは、特定の不動産を担保として、一定の範囲内で繰り返し融資を受けられる権利のことです。
通常の抵当権とは異なり、根抵当権は様々な債権に対して設定され、極度額と呼ばれる上限内で何度も融資を受けられます。
*定義と基本概念
根抵当権は、不特定の債権を担保として設定される法的な権利です。
民法398条の2によって規定されており、融資の柔軟性を高めるために設計されています。
*相続時の特徴
相続財産に根抵当権付きの不動産が含まれる場合、相続人は不動産をそのまま引き継ぐか、放棄するか、慎重に判断する必要があります。
相続財産にマイナスの財産がある場合、根抵当権が実行される可能性もあるため、相続放棄が賢明な選択になり得ます。
一方で、事業等で定期的に資金調達が必要である場合は、根抵当権を相続するのが良いでしょう。
定期的な資金調達が必要ない場合は、不動産を相続した後に根抵当権抹消手続きをしたほうが、不動産を売却しやすくなります。
ただし、融資を完済している場合でも根抵当権を抹消するには、債権者の合意が必要であることに注意しましょう。
相続放棄をする場合は、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があり、根抵当権を相続する場合は相続開始から6か月以内に登記手続きを完了させる必要があります。
*根抵当権と抵当権の違い
根抵当権と抵当権の最大の違いは、担保の対象となる債権の性質にあります。
根抵当権は不特定の債権を対象とし、極度額の範囲内で複数回の融資を受けられる一方で、抵当権は特定の債権に対して設定され、一度の融資に限られます。
□相続における根抵当権の登記と手続き
1:債権者への連絡
相続開始後、まず行うべきは債権者に連絡を取ることです。
債権者は金融機関であることが一般的です。
根抵当権の抹消だけではなく、相続する場合も相続放棄する場合も、債権者によって発行された書類が必要になります。
2:相続放棄の検討
相続財産に多額の負債が含まれる場合、経済的リスクを避けるために相続放棄を検討することがあります。
相続放棄は、相続開始後3カ月以内に家庭裁判所に申述する必要があるため、この期間内に決断しなければいけません。
相続放棄を選択するとプラスの財産も相続できなくなるため、遺産全体を把握することが重要です。
3:登記手続きと完済した根抵当権の扱い
相続放棄をしない場合、根抵当権の登記手続きを進めます。
所有権移転登記、債務者変更登記、指定債務者の合意の登記が必要で、これらの登記は相続開始から6カ月以内に完了させなければいけません。
相続人が今後定期的な融資を受ける必要性がある場合、そのまま根抵当権を相続しても良いですが、定期的な融資が不要で、完済した根抵当権がある場合、抹消登記が必要となります。
完済しているにもかかわらず、登記が残っていると、新たな借入や不動産の売却に際して問題が生じる可能性があります。
根抵当権の抹消登記については期限がないので、所有権移転登記後に検討する時間はあります。
□根抵当権相続の注意点
定期的に融資を受ける目的で根抵当権を相続する場合、いくつか注意点があります。
1:根抵当権設定者と債務者の違い
根抵当権設定者と債務者が異なる場合、相続によって自動的に元本が確定するわけではありません。
これは、民法398条の8第2項で「債務者」の死亡が規定されているためです。
そのため、元本を確定させるためには、別途手続きが必要になります。
2:期限内の手続きの重要性
根抵当権が関係する相続には、特定の期限が設けられています。
相続放棄は、相続開始から3か月以内に行う必要があり、根抵当権の登記は6か月以内に完了させる必要があります。
また、法律改正によって、令和6年4月1日から不動産の相続登記も義務化されるようになります。
相続放棄や抵当権抹消登記が必要ない場合でも、不動産の所有権の取得を知った日から3年以内に登記をしなければいけないことに注意しましょう。
根抵当権の相続にはさまざまな法的な複雑さが伴うため、相続人は法的なアドバイスを受けるか、専門家に相談することをおすすめします。
□まとめ
根抵当権は、極度額の範囲内で繰り返し融資を受けられるという仕組みです。
相続人は被相続人の財産状況を確認し、根抵当権を相続するかを判断する必要があります。
登記には期限が設けられてるため、相続放棄、相続登記を期限内に終えられるよう、事前に把握し、余裕を持って行動しましょう。
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