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遺留分と法定相続分の違いとは?遺留分侵害額請求についても解説
自分が相続できる立場なのか、どれくらいの財産を相続できるのか、他に誰が相続人なのか、突然相続が発生すると、理解が追い付かないことも考えられます。
相続は思わぬトラブルにもつながることがあるので、相続に関する知識は事前につけておくとご自身の権利もしっかりと守れます。
そこで、今回は相続の基礎である遺留分と法定相続分の違いについて、遺留分侵害額請求の手順とともに解説します。
遺留分と法定相続分の違いとは?
遺留分と法定相続分は混同されやすいですが、相続法において区別される重要な概念です。
遺留分は、特定の相続人が受け取るべき最低限の財産保護を意味します。
一方で、法定相続分は、被相続人の財産が法律に従って分配される割合を示します。
遺留分の目的とは?
遺留分は、相続人の経済的な保護を目的としています。
これにより、遺言によって相続人が不当に排除された場合でも、最低限の生活を保障できます。
そのため、被相続人に養われた人が対象となるため、被相続人の配偶者、子ども、直系尊属が含まれ、兄弟姉妹は含まれません。
遺留分の法改正
2019年の改正により、遺留分制度が変更されました。
改正された内容としては、相続人の遺留分侵害額請求についてです。
改正前は、遺留分侵害額請求の内容は財産そのものに対する物的権利でした。
しかし、改正後は物的権利ではなく、金銭の請求が可能になりました。
この改正は、遺留分侵害額請求によって不動産を共有することになるという事態を避ける目的があります。
遺留分が認められない場合もある
遺留分の権利を持つ人物でも以下に当てはまる場合は遺留分が認められません。
・相続欠格者
犯罪行為をはじめ相続人としての資格を失うような行為をした場合、遺留分は認められません。
・相続排除された人物
被相続人によって相続の権利を排除された人物は、法定相続分に加え、遺留分も認められません。
相続排除は著しい非行があった相続人に対して、被相続人が行使できます。
・相続放棄した人物
相続放棄をすると財産全体を相続できないことになるので、遺留分も認められません。
・遺留分放棄した人物
その名の通り、遺留分を放棄したら遺留分は認められません。
遺留分の計算方法
遺留分=相続財産総額×遺留分割合
遺留分の金額を求めるには、まず相続財産の総額を求めるところから始まります。
相続財産には、実際に相続した財産に加え、生前贈与や特別受益なども含まれることに注意しましょう。
次に相続人ごとに遺留分の割合をかけます。
遺留分割合は相続人の地位と他の相続人との関係によって異なります。
例えば、相続人が配偶者のみであれば遺留分割合は1/2ですが、相続人が配偶者と子であれば配偶者、子ともに1/4になります。
また、相続人が配偶者と父母の場合、配偶者が1/3、父母が1/6になります。
権利が認められる人の範囲
相続における法定相続分と遺留分は、制度の目的が異なるため権利が認められる人の範囲も異なります。
1:法定相続分が認められる人の範囲
法定相続分が認められる人、つまり法定相続人である範囲は配偶者、子ども、親(または祖父母)、兄弟姉妹(または甥姪)です。
法定相続分が認められる人の範囲は、相続放棄や排除がない限り変動しませんが、順位は被相続人や他の相続人との関係によって変動します。
はじめに配偶者は常に法定相続人です。
第一順位の相続人は子ども、第二順位の法定相続人は親(または祖父母)、第三順位の法定相続人は兄弟姉妹(または甥姪)になります。
上位に他の相続人がいる場合、その相続人に相続権は認められません。
例えば、子どもがいる場合、第二順位の親(または祖父母)と第三順位の兄弟姉妹(または甥姪)には相続権がありません。
2:遺留分が認められる人の範囲
遺留分が認められる範囲は、配偶者、子ども、親(または祖父母)のみです。
相続人の経済的保護を目的としているため、法定相続人と異なり順位は設定されません。
遺留分侵害額請求もできる
遺留分侵害額請求は、相続人が自らの遺留分を保護するための重要な法的手段です。
もし遺留分が侵害された場合は、以下の順番で請求を進める必要があります。
1:請求の準備
遺留分侵害額請求を行う前に、相続財産の全体像を理解し、自身の遺留分がどの程度侵害されているかを確認する必要があります。
2:法的措置
内容証明郵便での請求書送付、家庭裁判所での調停申し立て、最終的には訴訟提起というステップを踏みます。
これらの手続きを通じて、遺留分の侵害に対する正当な補償を求められます。
遺留分侵害額請求には時効が設けられています。
相続開始と遺留分侵害の事実を知った日から1年以内、またはその事実を知らなかった場合でも相続開始から10年以内に請求を行う必要があります。
まとめ
遺留分と法定相続分は制度の目的が異なるため、権利が認められる人の範囲をはじめ制度の内容に違いがあります。
ご自身の権利を守るためにも、法定相続分と遺留分の違いについてしっかりと理解をしましょう。
また、もし遺留分が侵害された場合は、遺留分侵害額請求が可能なので、今回ご紹介した順番に沿って手続きを進めましょう。
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