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  • 共有名義の不動産を相続するには?手続き・トラブル・解決策を解説

共有名義の不動産の相続が発生したとき、どのように手続きすればいいのかわからず、戸惑う方も多いでしょう。通常の相続とは異なり、複数の権利者が絡むため、不動産の扱いが複雑になります。

この記事では、共有名義の不動産の相続の基本的な仕組みや手続きの流れ、よくあるトラブルとその解決策を解説します。手続きの全体像をつかんでから、一つひとつ確認していきましょう。

共有名義の不動産の相続とは?基本を解説

共有名義の不動産とは、一つの不動産を複数の人が「持分」と呼ばれる権利の割合で分け合って所有している状態のことです。

たとえば「父と息子が自宅の土地を2分の1ずつ所有している」というケースがこれにあたり、登記簿には「父 持分2分の1」「息子 持分2分の1」のように記載されます。

遺産相続によって取得するケース以外にも、夫婦や親子が共同で出資して不動産を購入した場合や、共有者の一人が自分の持分を第三者に売却することで購入者が新たな共有名義者となるケースもあります。

この共有という状態は、民法249条に規定されています。

「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。」

引用:e-Gov法令検索「民法第249条」

ここでは、相続の基本について以下を解説します。

  1. 相続発生時の持分の行き先
  2. ケース別|親子・夫婦・きょうだいの持分の行き先

ここで基本をしっかり押さえておきましょう。

相続発生時の持分の行き先

共有者の一人が亡くなった場合、その方が保有していた持分は他の共有者に自動的に移転することはありません。あくまで「亡くなった方の相続財産」として扱われ、配偶者・子などの相続人が引き継ぎます。

共有名義の不動産の相続が発生した際の持分の行き先は以下のとおりです。

  • 遺言書がある場合:遺言の内容に従い、特定の人が持分を引き継ぐ
  • 遺言書がない場合:相続人全員で誰が持分を引き継ぐかを話し合う遺産分割協議が必要となる

また、相続人が複数いる場合、持分がさらに細かく分かれる可能性があり、相続登記(名義変更)の手続きが必要になります。

遺言書の有無によって手続きの流れが大きく変わるため、相続発生後はまず遺言書の確認から始めることが重要です。

ケース別|親子・夫婦・きょうだいの持分の行き先

共有名義の形態や亡くなった方の状況によって、持分の行き先は異なります。遺言書がない場合の法定相続における行き先を、代表的なケースでまとめました。

ケース 亡くなった共有者 持分の行き先(遺言なし・法定相続の場合)
親子共有名義
  • 配偶者・子へ移転する
  • 子が複数いれば持分がさらに分割される可能性がある
夫婦共有名義 配偶者の一方
  • 残存配偶者と子へ移転する
  • 子が相続放棄しない限り配偶者単独にはならない
きょうだい共有名義 きょうだいの一人
  • 亡くなった共有者の配偶者・子など相続人へ移転する
  • 他のきょうだいに自動的には移らない

特に子が複数人いる場合や、きょうだい間で共有していた場合は、相続を重ねるごとに権利者が増え、将来の売却や活用が難しくなるリスクがあります。相続が発生したら、まず誰が相続人にあたるかを確認し、早めに話し合いの場を設けることが重要です。

なお、関連記事「共有名義の不動産で片方が死亡したら誰が相続する?」では、ケース別の持分の行き先をさらに詳しく解説しています。相続発生後の対応に不安がある方は、ぜひ参考にしてください。

共有名義のまま不動産を相続するリスク

共有名義の不動産を相続したまま放置することで、以下のようなリスクがあります。

  1. 共有者全員の同意を得るのが困難になる
  2. 共有者が増え続けると権利関係が複雑になる
  3. 維持費・固定資産税のトラブルに発展しやすくなる

将来、相続した不動産を活用できなくなるリスクを下げるために、しっかりと把握しておきましょう。

共有者全員の同意を得るのが困難になる

共有名義の不動産を活用するには、行為の種類に応じて共有者全員または過半数の同意が必要です。一人でも反対すれば、不動産の活用方法が大きく制限されます。

さらに、共有者が高齢になって認知症を発症した場合、合意の取得が事実上不可能になるうえ、成年後見人の選任が必要となるなど、手続き面の負担も大幅に増えます。

将来のトラブルを回避するためにも、早めに共有状態を解消しておくことが大切です。

共有者が増え続けると権利関係が複雑になる

共有名義のまま放置すると、共有者が亡くなるたびにその相続人が新たな共有者として加わります。

⚠️ 注意:放置すると発生するリスク

数世代が経過すると「見ず知らずの遠縁と共有している」という状態になりやすく、問題となるケースが増えています。こうした状況になると、全員の同意取得は実務上ほぼ不可能です。

関連記事「共有名義で不動産売却できない時の対処法・解決策」では、権利関係が複雑になった場合の対処法を詳しく解説しています。共有者が増えて困っている方は、ぜひ参考にしてください。

維持費・固定資産税のトラブルに発展しやすくなる

維持費・固定資産税の支払いは、共有者間でトラブルが起きる原因のひとつです。

費用は持分割合に応じて負担するのが原則ではあるものの、不動産の使用状況と一致しないことが多く、以下のようなトラブルが起きやすくなります。

費目 主なトラブル
修繕費・管理費などの維持費 費用負担への不満から共有者間の関係が悪化しやすい
固定資産税 共有者の一人が滞納すると、市区町村から他の共有者に全額が請求される可能性がある

費用負担をめぐる不満は表面化しにくいだけに、気づいたときには関係が修復しがたいほど悪化しているケースも少なくありません。共有状態が長引くほどリスクが高まるため、早めの解消を検討することが大切です。

共有名義の不動産を相続する手続き5ステップ

共有名義の不動産を相続

共有名義の不動産を相続するための手続きは、大きく分けて以下の5ステップです。

  1. STEP1|遺言書の有無の確認
  2. STEP2|相続人と相続財産の調査・確定
  3. STEP3|遺産分割協議
  4. STEP4|必要書類の収集
  5. STEP5|相続登記の申請

それぞれ詳しくみていきましょう。

STEP1|遺言書の有無の確認

まず、被相続人が遺言書を残していないか確認しましょう。

公正証書遺言であれば、公証役場で検索可能です。自筆証書遺言については、自宅保管のほか、法務局の保管制度「自筆証書遺言書保管制度」を利用しているケースもあるため、両方を確認してください。

遺言書がある場合は、遺言の内容に従って相続手続きを進められるため、相続人全員での話し合いは原則不要です。一方、遺言書がない場合は、相続人全員で誰が持分を引き継ぐかを決める遺産分割協議が必要になります。

STEP2|相続人と相続財産の調査・確定

相続人を確定するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集します。また、相続する不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して、持分割合や固定資産税評価額を確認しましょう。

相続財産の全体像を把握することで、遺産分割協議をスムーズに進められます。

STEP3|遺産分割協議

遺言書がなく、相続人が複数いる場合は遺産分割協議を行います。法律で定められた相続の割合(法定相続分)どおりに相続登記を申請することも可能です。

また、不動産の共有持分だけでなく、預貯金や株式といった他の相続財産についても、この段階でまとめて話し合います。

誰が持分を引き継ぐかを相続人全員で合意したら、その内容を文書でまとめた「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員の実印で押印し、印鑑証明書を添付します。

STEP4|必要書類の収集

次に、相続するのに必要な書類を用意しましょう。

💡 ここがポイント:相続に必要な主な書類
  • 被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡まで)
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票
  • 固定資産税評価証明書
  • 遺産分割協議書(相続人が複数の場合)
  • 相続登記申請書
  • 相続人の印鑑証明書

なお、固定資産税評価額の0.4%の登録免許税を納付する必要があります。また、司法書士に手続きを依頼する場合は、別途司法書士報酬が発生します。

STEP5|相続登記の申請

2024年4月1日から相続登記が義務化されており、不動産を相続したことを知った日から3年以内に手続きする必要があります。正当な理由なく期限内に登記しなかった場合は、10万円以下の過料が科せられます。

申請先は不動産の所在地を管轄する法務局です。ご自分で申請することも可能ですが、書類の準備に不安がある場合や相続人が多い場合は、司法書士への相談を検討しましょう。

出典:法務省「相続登記の申請義務化について

共有名義の不動産を相続する際のトラブル

共有名義の不動産を相続すると、単独所有と比べて以下のようなトラブルが発生しやすくなります。

  1. 共有持分を第三者に無断で売却される
  2. 相続放棄後も固定資産税・管理義務が残る
  3. 共有者と連絡が取れない・行方不明になる

あらかじめ代表的な3つのトラブルを把握しておきましょう。

共有持分を第三者に無断で売却される

共有名義の不動産は、他の共有者の同意がなくても、自分の持分だけを自由に売却できます。

「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。」

引用:e-Gov法令検索「民法第206条」

そのため、他の共有者が自分の持分を売却した結果、不動産会社や投資家が新たな共有者として加わるケースがあります。共有者の顔ぶれが変わることで利害関係が複雑になり、売却や活用の方針について合意を得るのが難しくなる点に注意が必要です。

共有持分を売却された場合は、早めに弁護士や専門の買取業者に相談し、今後の対応方針を検討しておきましょう。

相続放棄後も固定資産税・管理義務が残る

相続放棄をすれば、その方ははじめから相続人でなかったものとして扱われ、亡くなった方の持分は次の順位の相続人へと引き継がれます。

ただし、相続放棄後も、次の相続人が管理を始められるまでの間(すべての相続人が放棄した場合は、裁判所が選任する「相続財産清算人」が決まるまでの間)は、不動産の一定の管理義務が継続する点に注意が必要です。

また、固定資産税ですが、正しく相続放棄が認められれば固定資産税の支払い義務は完全に消滅します。
しかし、固定資産税納税通知書は毎年1月1日時点の所有者(所有者が亡くなっている場合は法定相続人宛)に対して発行されます。
そのため、役所側への情報伝達のタイムラグなどが原因で、相続放棄したはずなのに納税通知書が届いてしまうという事態が発生する可能性もあります。
この場合は、速やかに市区町村の税務課へ「相続放棄申述受理通知書」のコピーや固定資産税納税通知書のコピー等、相続放棄を示す書類を提出し、請求を取り下げてもらうよう手続きを行いましょう。
※また、自身の共有持分のみを放棄する「持分放棄」の場合は名義変更の手続きが完了するまで固定資産税の請求が続くため混同しないよう注意が必要です。

上記の『相続放棄』は、不動産だけではなくすべての遺産を引き継がない手続きです。
相続そのものをやめるのではなく、特定の不動産の共有状態だけを解消したい方は、『持分放棄』という解決策もあります。

関連記事「土地の共有名義を解消する際の選択肢!持分放棄でトラブルを回避する方法」では、持分放棄の手続きの流れやメリット・デメリットを詳しく解説しています。

共有者と連絡が取れない・行方不明になる

連絡の取れない共有者がいると、不動産を活用するにあたって対応が複雑化します。共有名義の不動産では、行為の種類によって必要となる同意の範囲が異なります。

種類 同意 具体例
変更行為 共有者全員の同意が必要
  • 不動産全体の売却
  • 大規模リフォーム
  • 長期賃貸(建物3年超)
  • 管理方針の変更
管理行為 持分の過半数の同意が必要
  • 短期賃貸(建物3年以内)
  • 賃貸管理会社の変更など
保存行為 各共有者が単独で実施可能 外壁塗装・屋根修繕などの現状維持のための修繕

なかでも不動産全体の売却や長期賃貸といった変更行為は全員の同意が必要なため、一人でも連絡が取れないと手続きを進められません。

相続登記を放置するほど連絡の取れない相続人が増え、複雑化していきます。こうした状況になった場合は、早めに弁護士へ相談することで、不在者財産管理人の選任申立てをはじめとした法的な対処法を検討できます。

、売却の同意が得られないといった状況でも、ご自身の持分だけであれば共有者の同意なしに売却が可能です。共有持分に特化した専門家が対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。

共有名義の不動産相続トラブルを解決する5つの方法

すでに共有名義になってしまっている、または相続で共有状態が発生する場合、以下の解決方法があります。

  1. 現物分割
  2. 換価分割
  3. 代償分割
  4. 贈与
  5. 売却

状況に応じて最適な方法を選びましょう。

現物分割|各相続人が単独で所有する

現物分割とは、不動産を物理的に分割し、それぞれが単独で所有する方法です。

土地の場合は「分筆登記」と呼ばれる手続きを行い、各相続人が独立した土地を単独名義で取得します。ただし、マンションや商業ビルなどの区分所有建物や、建物が建っている土地には原則として現物分割は適用できません。

現物分割は、分割後の各部分に十分な利用価値が確保できる形状・面積の土地に向いている方法です。

共有者間の話し合いで分割方法が決まらない場合は「共有物分割請求」という法的な手続きを通じて分割する方法があります。関連記事「共有物分割請求とは?手続きの流れと費用・弁護士の必要性を解説」では、手順や費用の目安を詳しく解説しています。分割方法で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

換価分割|売却して代金を分配する

換価分割とは、共有物を売却して現金に換え、持分割合に応じて各自が代金を受け取る方法です。物理的に分けることが難しい不動産でも公平に現金化できるため、誰も住んでいない空き家や、相続人全員が売却に賛成している場合に向いています。

売却方法は「任意売却」と「競売」の2種類です。

比較項目 任意売却 競売
実施条件 共有者全員の合意が必要 合意不要(裁判所が実施)
売却価格の目安 市場相場に近い 市場相場の60〜70%程度
(場合によっては50%を下回る)
向いているケース 全員が売却に同意しているとき 合意が得られない・交渉が難しいとき

どちらの方法でも、売却時には仲介手数料などの諸費用のほか、売却益が出た場合には譲渡所得税が発生します。金額によっては税負担が大きくなることもあるため、事前に税理士へ確認しておくことをおすすめします。

代償分割|一人が買い取り単独名義にする

代償分割とは、共有者の一人が他の共有者の持分を金銭(代償金)で買い取り、単独所有にする方法です。全員の合意が取れれば不動産をそのまま残せます。

原則として贈与税はかかりませんが、代償金が時価を大きく下回る場合は贈与とみなされ、贈与税が課される可能性があります。また、不動産を手放して代償金を受け取る側には、譲渡所得税が課される場合があります。

代償分割は不動産を手放したくない・資金力がある共有者に適した方法です。

贈与|共有者から持分を受け取る

贈与とは、他の共有者から持分の贈与を受けて単独名義にする方法です。年間110万円までの贈与は非課税ですが、不動産の持分は評価額が高いことが多く、贈与税が高額になりやすい点に注意が必要です。

税負担の面では、代償分割の方が抑えられるケースが多いため、事前に税理士や弁護士へ相談することをおすすめします。

売却|自己持分のみ売却する

共有持分の売却とは、他の共有者の同意なしに、自分の持分だけを専門の買取業者などの第三者に売却する方法です。持分は自由に処分できるため、共有者が反対している場合でも手続きを進められます。

共有者間の話し合いが進まない場合や、早期に現金化したい場合に有効な方法です。相続やトラブルを抱えた持分でも対応できる専門業者へ相談してみてください。

まとめ

共有名義の不動産を相続すると、持分がさらに細分化され、共有者が増えるたびに意思決定が難しくなります。売却・活用・費用負担など、あらゆる場面でトラブルに発展しやすく、放置するほど問題は複雑化します。

そのため、共有者間でトラブルになる前に専門家へ相談し、早めに方針を決めることが大切です。

なお、共有者との話し合いが進まない場合や、早期に共有状態を解消したい方には、持分のみの売却も選択肢のひとつです。他の共有者の同意は不要で、相続やトラブルを抱えた案件にも対応しています。共有名義の不動産をどのように扱えばいいのか悩んでいる方は、まずは以下のボタンからお気軽にご相談ください。

編集者

【監修】共有持分サポート
編集・監修:共有持分サポート編集部
共有持分サポートは、不動産の共有名義に関するトラブル解決を専門とするサービスを提供しております。
当社では、弁護士・司法書士・不動産鑑定士・税理士など各分野の専門家と連携し、相続・離婚・共有不動産の売却問題などに対応しています。これまでに累計5,000件以上のご相談実績があり、共有持分に関する幅広いケースに対応してきました。
宅地建物取引業免許番号:大阪府知事免許(3)第58721号

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